星ひとつ無い敬虔な闇
こんにちは。雪解けも進んで、春も近い様子です。
最近、北海道のプログレ好きな方たちと話す機会があったのですが、
”北海道のプログレ好きはブラフォード及びキングクリムゾン好きが多い”
という話題がありました。
キングクリムゾンと言えばプログレの代名詞的名盤な1st「クリムゾンキングの宮殿」が
あまりに有名ですが、自らの手で強引に幕を下ろした「レッド」もメタル・プログレの傑作です。
・King Crimson - Starless
終曲のスターレス。最後に残ったのが「星一つない敬虔な闇」という、あまりに
悲壮なテーマの詞と、全てを置き去りにして暗黒に疾走していくラストの展開は
一時代の終末のような物哀しさを感じさせます。
ということで曲も美しいし有名なスターレスなのですが、同じようなテーマで遥かに
重いのに知名度が全く無いので紹介したいのが、水木しげる先生の「ベーレンホイターの女」。
世間一般にとって水木先生はゲゲゲの鬼太郎か悪魔くんだと思いますが、
本当にすごいのは常人の理解を超越したナンセンスギャグと文明批判、そして
全く救いようが無い物語。この短編は本当に絶望の極地としか表現できません。
あらすじ
主人公・猫山は事業に失敗し借金を抱え、高飛び先の外国でも無一文なってしまう。
いっそ自殺しようかと考えていたところ、現地の老科学者に有人探査ロケットの
搭乗者にならないかとして誘われる。
巨額の報酬と引き換えに、宇宙探査に耐えれるようになる肉体改造手術を受けた
猫山は、巨大な一つ目を持つ醜い肉塊の姿になってしまう。
猫山は宇宙への出発前に妻子に一目会いたいと日本に戻るが、その変わり果てた
姿に子供は泣き叫び、老いた親はショックで体調を崩し入院してしまう。絶望した猫山は
日本を離れ、ついにロケットに乗り宇宙へ出発する。
探査飛行は順調に進むも、広がる宇宙には人も何も見当たらず、ただ無の世界が
永遠に広がっていた。
無限の時の流れの中で猫山は思う。全ての果ては虚無しか存在しない。人々は
崇高な使命のように宇宙だ月だとロケットを飛ばしあうが、結局意味なんて全く無い。
やがて、妻子や自分が変身したことも忘れかけようとしたが、「しょせんどんな形で
存在したようと結局同じことだ」と猫山は考えるようになっていた。
猫山こと、ベーレンホイターの女を乗せた飛行船は、その後も永遠に宇宙を飛び続けた…。
もともと1960年に水木先生が描いていた「サイボーグ」という短編を、1970年に
自身でリライトしたもの。
絶望した猫山が見た宇宙の果ての光景と、スターレスの「星一つ無い敬虔な闇」というのが
ぴったり重なって、未だにレッドを聴く度にベーレンホイターの女を思い出してしまいます。
あと、これと一緒に水木先生の「ドブ川に死す」を読めば完璧です。読後の責任は取れませんが。
最近、北海道のプログレ好きな方たちと話す機会があったのですが、
”北海道のプログレ好きはブラフォード及びキングクリムゾン好きが多い”
という話題がありました。
キングクリムゾンと言えばプログレの代名詞的名盤な1st「クリムゾンキングの宮殿」が
あまりに有名ですが、自らの手で強引に幕を下ろした「レッド」もメタル・プログレの傑作です。
・King Crimson - Starless
終曲のスターレス。最後に残ったのが「星一つない敬虔な闇」という、あまりに
悲壮なテーマの詞と、全てを置き去りにして暗黒に疾走していくラストの展開は
一時代の終末のような物哀しさを感じさせます。
ということで曲も美しいし有名なスターレスなのですが、同じようなテーマで遥かに
重いのに知名度が全く無いので紹介したいのが、水木しげる先生の「ベーレンホイターの女」。
世間一般にとって水木先生はゲゲゲの鬼太郎か悪魔くんだと思いますが、
本当にすごいのは常人の理解を超越したナンセンスギャグと文明批判、そして
全く救いようが無い物語。この短編は本当に絶望の極地としか表現できません。
あらすじ
主人公・猫山は事業に失敗し借金を抱え、高飛び先の外国でも無一文なってしまう。
いっそ自殺しようかと考えていたところ、現地の老科学者に有人探査ロケットの
搭乗者にならないかとして誘われる。
巨額の報酬と引き換えに、宇宙探査に耐えれるようになる肉体改造手術を受けた
猫山は、巨大な一つ目を持つ醜い肉塊の姿になってしまう。
猫山は宇宙への出発前に妻子に一目会いたいと日本に戻るが、その変わり果てた
姿に子供は泣き叫び、老いた親はショックで体調を崩し入院してしまう。絶望した猫山は
日本を離れ、ついにロケットに乗り宇宙へ出発する。
探査飛行は順調に進むも、広がる宇宙には人も何も見当たらず、ただ無の世界が
永遠に広がっていた。
無限の時の流れの中で猫山は思う。全ての果ては虚無しか存在しない。人々は
崇高な使命のように宇宙だ月だとロケットを飛ばしあうが、結局意味なんて全く無い。
やがて、妻子や自分が変身したことも忘れかけようとしたが、「しょせんどんな形で
存在したようと結局同じことだ」と猫山は考えるようになっていた。
猫山こと、ベーレンホイターの女を乗せた飛行船は、その後も永遠に宇宙を飛び続けた…。
もともと1960年に水木先生が描いていた「サイボーグ」という短編を、1970年に
自身でリライトしたもの。
絶望した猫山が見た宇宙の果ての光景と、スターレスの「星一つ無い敬虔な闇」というのが
ぴったり重なって、未だにレッドを聴く度にベーレンホイターの女を思い出してしまいます。
あと、これと一緒に水木先生の「ドブ川に死す」を読めば完璧です。読後の責任は取れませんが。